令和5年(2023年)6月29日(木)
傍聴と陳情説明のため、子ども文教委員会に行って来ました。
そこで、こども達の課題が複雑化・複合化していること、
学童クラブの需要が増加していること、こどもの多様な居場所づくりの観点から、
これまでの児童館一部廃止の方針を改め、
児童福祉法に基づいた児童館を残しつつ機能強化していく、
という区の方針転換について説明がありました。
つまり・・・
いまある児童館は廃止されない
0から18歳までのこども達の地域のあそびば・居場所として継続
ということであり、これまでの流れとは全く異なる内容でした。
👇今回の報告があるまでの区の方針はコチラ
「地域子ども施設の展開及び令和5年度の事業内容について」
https://kugikai-nakano.jp/shiryou/22122161551.pdf
資料の「児童館の配置と事業展開」を見ると、一部児童館閉館について記載されています。
児童館閉館とは、中野区立児童館条例から対象の児童館が除れるということであり、
「廃止」と同じことを意味しています。
「中野区立児童館条例」
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/reiki/reiki_honbun/q600RG00000089.html
「児童館」とは、国内法である児童福祉法に記載されている児童厚生施設のことです。
つまり、児童の権利に関する条約の精神に則った法律の位置付けがされており、
児童館ガイドラインも児童福祉法に基づいて規定されています。
「児童福祉法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000164
「児童館ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212051_00003.html
中野区が条例に定めている「児童館」を廃止してしまうと、
こどもの最善の利益を保障することを示す「児童福祉法」や、
「児童館ガイドライン」から外れた施設となり、
さらに「児童とは、満十八歳に満たない者」(0〜18歳まで)
の定義からも外れることになるため、
”機能転換”として示されていた方針にあったような、
「乳幼児の親子向け事業を強化した施設・学童クラブ併設」となった場合、
これまでは利用できていたそれ以外の小学生や中高生が来られなくなっても良い、
ということになります。
私はこの点について、かねてよりずっと疑問を呈してきました。
こどもの権利保障はどこへ行ってしまったのだろうと。
中野区では、今回区が示したように、児童虐待、いじめ、不登校の状態にある子ども達が年々増加しており、貧困や周辺層の状態にあるこども達は年齢が上がるにつれ、
課題が増すなど、こども達の課題が複雑化・複合化しています。
そうであるにもかかわらず、少なくともいま利用しているこども達の意見すら聞かずに、
大人の一方的な都合で計画を作り、こども達に押し付けてしまうようなことは、
大変理解し難い方針でした。
2020年に策定された「区有施設整備計画」で、児童館を中学校区に1つ(18→9)という方針が示された中で児童館の在り方が示されてきたことは、前区政の中野区10カ年計画2次、3次を踏襲した「数の理論」が先行していたことは否めません。
そもそも、「区有施設整備計画」はこどもの権利保障について触れられた計画ではありませんでした。
そうした中で、2021年の児童館廃止条例が1票差で否決されたことは、とても大きかったと思います。あの時の否決がなければ、今回のような展開は望めませんでした。
否決があってもなお、「地域子ども施設整備・事業展開の方向性」のような内容が示されたのは、前区政の方針から尾を引いたままの「区有施設整備計画」を起点としていたためです。
しかし、今回の方針転換はそうではありません。
まず、昨今のこども達の複雑化、複合化した課題、学童クラブの需要が増加している、
そして、0〜18歳までの切れ目のない支援、こども達の多様な居場所づくりの必要性、
居場所の機能・役割としてどうあるべきかという視点がまずあり、
現在ある18館をこどもの権利条約に則った児童福祉法の位置付けをそのままに、
こども達の意見を聴きながら活かしていく、というものになっています。
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陳情については、提出した時点とは状況が異なりましたが、
「こどもの意見を聴くこと」「意見を施策へ反映させること」
という趣旨は同じであることから、予定通り補足説明もさせていただき、
審査、その結果「採択」となりました。
「採択」の判断をしてくださった議員の皆さま、
そして、方針転換へのご尽力と陳情採択を受け入れてくださった理事者の皆さま、
本当にありがとうございました。
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私が住む地域は、中野区10ヵ年計画(前区長)で早々に児童館が廃止されています。
地域活動で出会ったこども達の中には、児童相談所が介入中のご家庭のお子さんもおり、
こども達が安心安全のあそびばや居場所を求めて、
我が家を訪ねてきてくれることがありました。
児童相談所のサポートを受けていることを知ったのは、こども達自ら開示してくれたからではありません。
あそびや居場所を求めてやってくるこども達と毎日顔を合わせているからこそ、
「おや?」と気付けることがある、ということです。
そうした経験から、学校や家以外の常設の居場所の必要性を切実に感じています。
今後の児童館整備計画をつくるにあたり、こども達の意見を聴きながら進めるという説明もありました。子どもの権利条約、こども基本法、区の子どもの権利条例に則り、こども達を主役、主語にその精神を具現化していくこと。
そして、利用していない、以前は利用していたけれど利用しなくなった、というこども達の声を聴くことも忘れずに進めてほしいと思います。
現在の児童館運営や機能を評価、分析することにもなると考えています。
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